あれはあの子がまだ幼い頃、
長引いた冬のある日。
すっかり日が暮れたというのに、
あの子が戻らないと
屋敷で騒ぎになりはじめた時――
「おばあさま~~おばあさま~~
みてくださいまし~~」
「ああブライト……!
こんなに遅くまでどこへ?
皆心配していたのですよ……!」
「わたくし、さがして、もってきましたの~
おばあさまが
はやくみたいとおっしゃったので~」
「私が……? いったい何を……
ああ、こんなに手が冷えて――」
「春です。」
忘れもしません。
そう言ってあの子が開いた
手のひらの上、可憐な薄紅の花弁――
「みつけるまでは、たいへんでしたが。
ゆっくりでも、たくさんはしって、
もってきましたの~」
そしてあの笑顔。
あれを見たらつい、たしなめるのも忘れて
抱きしめてしまいました。
――ええ、ちょうど
今日のあの顔と同じ、
花信風のような笑顔でしたとも。
長引いた冬のある日。
すっかり日が暮れたというのに、
あの子が戻らないと
屋敷で騒ぎになりはじめた時――
「おばあさま~~おばあさま~~
みてくださいまし~~」
「ああブライト……!
こんなに遅くまでどこへ?
皆心配していたのですよ……!」
「わたくし、さがして、もってきましたの~
おばあさまが
はやくみたいとおっしゃったので~」
「私が……? いったい何を……
ああ、こんなに手が冷えて――」
「春です。」
忘れもしません。
そう言ってあの子が開いた
手のひらの上、可憐な薄紅の花弁――
「みつけるまでは、たいへんでしたが。
ゆっくりでも、たくさんはしって、
もってきましたの~」
そしてあの笑顔。
あれを見たらつい、たしなめるのも忘れて
抱きしめてしまいました。
――ええ、ちょうど
今日のあの顔と同じ、
花信風のような笑顔でしたとも。